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小規模宅地等の特例の拡大
大幅な相続税の引き上げの中でも多少のメリットも改善されました。内容をよく理解して上手に活用しましょう。
1、2は平成27年1月1日より適用、3については平成26年1月1日より適用
- 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積について現行の240㎡から330㎡まで拡大されました。100坪部分までの自宅敷地については一定の要件の下、評価額が80%減となります。自宅敷地については現行よりもかなり優遇されることになります。
- 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
現行の特定事業用宅地等の限度面積は400㎡、特定居住用宅地等の限度面積は240㎡で両方を選択適用する場合調整計算が必要でした。
例:特定事業300㎡ 特定居住120㎡の場合
400㎡-300㎡=100㎡ 100㎡×240/400=60㎡ よって特定事業300㎡+特定居住60㎡
これが、どちらも限度面積まで適用可能となるそうなので、 上記の例の場合、特定事業300㎡+特定居住120㎡が丸々特例計算の対象となることとなります。 - 老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地のように供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
イ:被相続人に介護が必要なため入所したものであること
ロ:当該家屋が貸付等の用途に供されていないこと
高齢化社会における現状を配慮し、これまで曖昧であった部分の解釈についての基準が明文化されました。
未成年者及び障害者控除の拡大<平成27年1月1日以降適用>
未成年者控除 | 障害者控除 | ||
---|---|---|---|
現行 | 改正案 | 現行 | 改正案 |
20歳までの1年につき6万円 | 20歳までの1年につき10万円 | 85歳までの1年につき6万円(特別障害者については12万円) | 85歳までの1年につき10万円(特別障害者については20万円) |
未成年者及び障害者が相続人の場合の税額控除額が拡大されます。
相続時精算課税制度の適用要件の見直し<平成27年1月1日より適用>
- 受贈者の範囲に20歳以上である孫(現行推定相続人のみ)を追加する現行では親から子への贈与だけに適用されていましたが、一代とばしての適用が可能になりました。若い世代への財産移転を行いやすくすることで消費の拡大を促すのが目的です。
ただし、相続があった場合は相続財産に持ち戻し、相続税課税が行われます。通常孫が相続する場合2割加算の対象となるのですがこの規定との兼ね合いについては現在不明です。 - 贈与者の年齢要件を60歳以上(現行65歳以上)に引き下げる
贈与者の年齢要件を引き下げることにより早期の財産移転が可能となります。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税規定の創設
30歳未満の者の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む))、銀行及び金融商品取引業者等に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする)までの金額に相当する部分の価額については、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。
※教育資金とは、文部科学大臣が定める次の金銭をいう
- 学校等に支払われる入学金その他の金銭
- 学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの
高齢者の資産を孫の入学金や授業料といった教育資金に活用することで教育業界への消費の拡大を促すのが目的かと考えられます。実際の適用にあたっては要件がかなりあります。
これだけは平成25年4月1日から平成27年12月31日まで適用ですから気を付けて下さい。